Other冬季競技

【カーリング】本橋麻里インタビュー part1 「チーム青森では、自分の限界を超えられなかった」

2010.08.20

photo by JMPA 2006年トリノ五輪で一躍脚光を浴び、”カー娘”ブームの火付け役となった本橋麻里。今年のバンクーバー五輪でもカーリング女子日本代表の主軸として活躍した彼女が、所属するチーム青森を脱退し、新チームを結成した。
 国内最強の実力を誇り、恵まれた環境にあるチームから離れ、新たなチームで本橋が目指すものとは? その真相に迫る――。


――新チーム結成、おめでとうございます。

「ありがとうございます。みなさん、そう言って祝福してくれるのはうれしいのですが、まだチームとしての活動をほとんどしてないので、これからだという気持ちが強いです」

 ――チーム名は『ロコ・ソラーレ』。ジュニア時代のチーム名『マリリンズ』という選択肢はなかったのですか?
「私も24歳になりましたし、さすがに『マリリンズ』というのは……厳しいです(笑)。みんなで、いろいろ話し合いながら決めました。私ひとりのチームではないので、そういう時間を大切にしたいと思っています」


――さて、まずは約5年間、在籍したチーム青森から離れることを選んだ理由を改めて教えてください。

「青森には、自分がいちばん伸びる時期にお世話になりました。しっかりと選手としてステップアップさせてくれて、世界を見させてくれました。本当に多くのことを学びました。それは、私の誇れる財産なのですごく感謝しています。そんな場所を離れる理由をひと言で言うのは難しいのですが、自分の限界を超えられなかった、まだまだ学ぶことがたくさんあることに気付いたからでしょうか。2月のバンクーバー五輪、3月の世界選手権と、ふたつの大きなタイトルで、日の丸を背負ったうえで実力を発揮できなかった。それはそのまま後悔として残っています」


――バンクーバー五輪では8位。世界選手権は11位。結果が出なかったことがひとつの要因になった。

「結果ももちろんですが、五輪を最大目標にしてきたチームが、その五輪であそこまで崩れたことがショックでした。08年の世界選手権でベスト4に入ったんですけれど、本来、あのときのような戦い方をしなくてはいけなかった。でも、日本はあそこがピークでした。他の国はあくまでも五輪を睨んでの調整で、あそこからグッと力をつけてきていたのに……」


――金メダルを獲得したスウェーデンなどもそうですね。

「ディフェンディングチャンピオンというプレッシャーの中での連覇は本当にすごいです。けど、あのチームって、トリノ以後の大きな大会では、ほとんど見かけなかったんですよ。だから、今回のバンクーバー五輪には出てこないんだろうなぁ、と思っていました。そうしたら、しっかり出場してきて、きちんと五輪にピークを持ってきて、優勝していった。『何なんだ、この人たちの調整力は!?』と、とてつもない衝撃を受けました。また、選手村に入ってからの過ごし方にも日本との差を感じました。ものすごくリラックスしていて、五輪を完全に楽しんでるんですよ。そうしたことも含めて、アイスの上(の技術)だけではない、メンタルの部分での見直しが必要だと痛感しました」


――五輪の大会中、日本のメンタル面での脆(もろ)さを具体的に感じた出来事はありましたか?

「予選リーグで、結果が出なくなってからですね。そういうときにはチーム内でお互いに声をかけあって、選手個々がもっと突っ込んで話し合うべきでした。もちろん、それによって意見がぶつかることもあるかもしれない。でも、絶対に必要だった。チーム状態が良くないという認識はあっても、『ここまで来て、今からチームの修正をするのはどうなんだろう……』と臆病になってしまった部分があるかもしれません。みんな、自分のことに集中するだけで精一杯になって、余裕がなかった。そんなときこそ、前回大会の経験もある私が、何かチームのためにすべきだったんじゃないか、という反省は大きいです」


――五輪を終え、帰国してすぐに全日本選手権に出場。さらに直後、再びカナダへと飛んで世界選手権がありました。タイトなスケジュールの中、そうした課題や反省はそのまま克服できず、置き去りにされてしまうのでしょうね。

「五輪で生じたギャップや違和感を修正する時間もなく、バタバタとしていたのですが、本当はそのスピードに甘んじて、チームの課題をそのままにするわけにはいかないんです。でも、日本代表のチームっていうのは、その中でも勝つことを期待されている。疲れていても、チーム状態が良くなくても……。
 結局、(課題の)修正はできませんでした。もっともっとメンバーがお互いの弱さを知るべきで、お互いの強さを讃え合うべきだった。そういったことを考えれば考えるほど、『ああ、私の内面にはチーム作りのノウハウがないんだ』と気付いたんです」


――4年後の五輪を見据えながら、課題を克服し、チーム作りのノウハウを学ぶことは、チーム青森に所属しながらではできなったのでしょうか? あるいは1年間だけ、チーム青森にとどまるといった選択肢もあります。

「チーム青森は、勝利を義務づけられて、強化のスケジュールも4年単位できっちり組まれています。A代表にいて、ちょっと違和感を抱いたときに、自分なりに考えたいことがあるからといって足並みを乱すと、ものすごく多くの人に迷惑をかけてしまうことになるんです。だから、タイミングとしては五輪が終わった今年しかなかったんです。それに私の中では、チームうんぬんではないんです。まずは、自分を鍛え直さないといけないと感じていました」

(つづく)

part2を読む>>本橋麻里インタビュー「チーム青森との対戦が実現したら負けたくない」

 Profile
本橋麻里(もとはし まり)
1986年6月10日、北海道生まれ。NTTラーニングシステムズ所属。ジュニア時代はマリリンズのスキップとして活躍。その後、河西建設を経て、2005年からチーム青森へ。カーリング女子日本代表選手として、2006年トリノ五輪(7位)、2010年バンクーバー五輪(8位)で奮闘。そして2010年7月、チーム青森を離れて、新チーム『ロコ・ソラーレ』を結成した。身長160㎝、血液型A

スペシャルコンテンツ

この記事を読んだ人にオススメ

  • Sportivaの本 スポルティーバから発売されている書籍の一覧はこちらから。
  • Twitter Official Account
  • YouTubeOfficial Account
  • Facebook Official Account

過去の記事

2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
  • 集英社・熊本地震災害 被災者支援募金のお知らせ
羽生結弦2016-2017シーズンカレンダー予約受付中!

羽生結弦2016-2017シーズンカレンダー予約受付中!

壁掛けタイプと卓上版の2種類。詳しくは「集英社BOOK NAVI」で!